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本書は、臨床医として名高い故・山本巌先生の「病態と生薬の対応」の教えを、現代の実臨床に合わせて大幅にパワーアップさせた一冊です。
本書の最大の特長は、古典的な中医学や日本漢方の概念(証の判定など)だけに頼らず、西洋医学と漢方医学を区別せずに、生薬の薬能(作用)をダイレクトに結びつけている点にあります。そのため、日々の外来診療や服薬指導における「即戦力の臨床バイブル」として、以下のように強力に活用できます。
1)「病名漢方」から脱却し、応用力をつけるために使う
「〇〇病にはこの処方」という固定化された覚え方(口訣漢方)をしていると、少し症状が外れた患者さんに対応できなくなります。
患者の西洋医学的な病態と漢方医学的な病態を複眼的に分析し、「なぜこの処方が効くのか」という理論的・客観的な根拠をもって確信ある治療ができるようになります。
2)生薬レベルでの「方剤の応用(加減・合方)」が身につきます
「気虚」「気滞」「血虚」「瘀血」「水滞」「鎮咳去痰」「寒証」「熱証」「解表」「瀉下」といった基本病態関連ごとに治療の鉄則を分類し、具体的な病態に対し、どの生薬あるいは生薬の組み合わせが適合するのか、その対応ルールが44の鉄則として整理されています。
これが理解できると、既製の漢方薬をそのまま出すだけでなく、患者の病態・症状に合わせて別の漢方薬を合わせる(合方)、あるいは生薬を加減するといった高度な応用が可能になります。
3)保険適用エキス製剤の「合方」のバリエーション、具体的な処方量がわかる
臨床で最も直面する「単剤のエキス製剤だけでは効き目が足りない、あるいは的を絞りきれない」という場面で役立ちます。
この増補改訂新版では、エキス製剤を組み合わせる(合方)具体的なバリエーションやその用量が豊富に例示されています。
例えば、「瘀血(血流不全)の病態に対して、手元にあるエキス製剤をどう組み合わせれば最適な治療になるか」を具体的なg単位の処方設計のヒントとしてそのまま外来に落とし込めます。
さらには煎薬のデータまで例示され、著者が長年培ってきた、臨床に直結する知識が余すことなく開放されています。
4)西洋医学(病態生理)と漢方を融合させて理解できます
西洋医学を中心に学んできた医師や薬剤師にとって、東洋医学の抽象的な理論はハードルが高いものです。しかし、山本巌流の漢方は「西洋医学と漢方医学の複眼的な病態把握」を重視します。
「炎症」「浮腫」「微小循環障害」といった西洋医学的な病態と生薬の薬能(効能)をリンクさせて解説しているため、西洋医学をベースにもつ医療従事者にとって非常にロジカルで分かりやすいアプローチになっています。西洋医学の思考プロセスのまま漢方のロジックを学べるため、導入本としても、思考の整理本としても活用できます。
5)治療の「再現性」を高めるためのリファレンスとして手元に置く
著者の坂東先生が「漢方は患者さんを治せてナンボ」と提唱する通り、本書は臨床実証に基づいた再現性の高い(誰が使っても効果が出やすい)ルールが44例にまとめられ、実臨床における具体的な運用法まで記されています。
外来で「処方した漢方がいまいち狙い通りに効いていない」と感じた際、該当する病態の「鉄則」に立ち返る、また病名・病態別漢方治療の実際を参照するなど、辞書として使います。師の「5分・15分テスト(試飲による即効性の判定)」の知見も織り交ぜられているため、治療効果の判定基準のブラッシュアップにも最適です。
6)臨床のヒントとなる「山本巌語録」
各鉄則の解説には、師である山本巌先生の貴重な臨床の教えやエッセンス(語録)が随所に散りばめられており、単なるマニュアル本にとどまらない、深い臨床の知恵を学ぶことができます。
A5判、620頁