木村豪雄/山方勇次 共著
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社会の高齢化により慢性炎症性疾患が増えている。そして近年、様々な難治性疾患に共通する基礎病態として「慢性炎症」がクローズアップされている。それに対し漢方一貫堂医学は有力な治療手段になる。
関西には森道伯―矢数格―中島随象という一貫堂医学の系譜がある。山本巌は昭和最後の漢方医と言われた中島随象直伝の一貫堂医学を運用して様々な難治性疾患に対峙し成果を上げた。同時に自らが理解し得た中島流一貫堂医学を誰もが学び実践できるよう、その「術」を「学」として遺そうと試みた。
本書は中島随象直伝の山本巌一貫堂医学をまとめたものであり、その訓えを継承する二人の著者が慢性炎症症候群に対して具体的病名を挙げ、一貫堂処方を応用した治療法について症例を提示し、実臨床においてどのように漢方エキス製剤や生薬を組み合わせて治療すればよいのかを述べている。
本書を参考に一貫堂医学の治療スキルを身につければ、慢性炎症症候群に対して優れた治療効果を上げることができると確信している(坂東正造)。
★本書の活用法は以下の通り★
(1)慢性炎症症候群へのアプローチ
本書は、一貫堂医学の根幹である「三大証(解毒証・臓毒証・瘀血証)」を、現代医学における「慢性炎症症候群」として再解釈している。現代人を悩ませる生活習慣病、動脈硬化、がん、認知症、自己免疫疾患、神経変性疾患など様々な慢性炎症性疾患に対し、どの段階でどの一貫堂処方(防風通聖散、柴胡清肝湯、竜胆瀉肝湯、荊芥連翹湯、通導散など)を応用すべきかの具体的な指標になる。
(2)西洋医学的な「病名・病態」からの処方選択
伝統的な漢方は「証(体質や症状パターン)」を重視するが、山本巌の漢方は西洋医学的な病態・病名と漢方病態のドッキングを重視する。具体的な病名に対して一貫堂処方をどうアプローチさせるかが解説されているため、普段西洋医学をベースに診療している医師や薬剤師が、漢方薬をスムーズに選択するための実践的なガイドとして活用でる。
(3)豊富な症例を通じた「リアルな治療プロセス」の追体験
本書には一貫堂医学の処方を用いた具体的な症例が提示されている。どのような主訴の患者にどの処方を選び、経過とともにどのように処方を調節(加減)していったか、という治療の実際の流れを追体験できるため、教科書的な知識だけでは分かりにくい「実際のさじ加減」を学ぶことができる。
(4)体質改善(根治治療)への活用
一貫堂医学はもともと「無病息災の身体を作る(体質改善)」を目標とした流派である。目先の症状を抑えるだけでなく、患者の元々の体質(素因)を見極め、根本から病気になりにくい身体へ導くための長期的な治療戦略を立てる際に役立つ。
A5判,176頁