山本巌流漢方による傷寒・温病診療マニュアル―即効!インフルエンザ・感冒症候群はこうして治す
商品コード: 978-4-901767-36-1
立花秀俊 著
★季節性インフルエンザ・新型インフルエンザ・感冒症候群などの呼吸器感染症に対し、煎じ薬ではなく、医療用漢方エキス製剤を駆使し、再現性をもって速やかに改善させるための漢方診療指針と漢方処方のバリエーションを「第Ⅰ部 診療の概要」で示し、「第Ⅱ部 症例解説」では、病態別に指針に基づく漢方処方を示して症例を提示、著効を得るための重要ポイントを解説する。★また症例解説ではどのように解決したらよいのかを失敗例も含めて述べられ、小児から成人・高齢者に至るまでほとんどのケースに対処できる内容である。★まさに傷寒・温病に対しての医療用漢方エキス製剤による極めて有効かつ明確な漢方診療マニュアルと言える。
★新型コロナウイルス感染症治療においても大いなるヒントとなり得る。
(内容構成の概要)
第Ⅰ部 診療の概要~山本巌の「新外感病論」に学ぶ
第Ⅱ部 症例解説
(A)太陽病の症候がある陽病の場合
(B)太陽病の症候がない陽病の場合
(C)陰病の場合
(D)胃腸型のカゼ(急性胃腸炎)の場合
A5版、108頁、オールカラー
【本書序文より】
著者は35歳から漢方を診療に取り入れて、約33年近くになる。小児科が専門なので、やはり風邪症候群が多く、それに対し漢方薬を処方したが、当初その成果は少ないものであった。そのため漢方薬を風邪症候群に使用することを一時やめたこともあった。しかし17年近く前、山本巌流漢方にめぐり逢い、それを契機として大きな変化が起こったのである。
山本巌先生は陽病の風邪には、ほとんどの患者に小柴胡湯を投与し、そして表証があれば桂枝湯、葛根湯、麻黄湯などを合方し、それでも解熱しない場合は白虎加人参湯、黄連解毒湯、大承気湯などを追加すると成書に記されている。
著者はこの山本語録をもとに、追試するべくそれに沿って診療を行なってきた。解表薬と小柴胡湯の合方は問題なく運用できた。それでも化熱して、「熱い」という患者が診られるようになり、それに対して白虎加人参湯を合方したが、慣れていないため最初の症例では、半量しか投与できなかった。白虎加人参湯の処方に慣れてきた後に、それでも解熱しなくて、紅潮した患者さんが著者の前にいた。それには黄連解毒湯を追加投与し、やっと解熱するようになった。その後に経験した慢性化した症例ではこれらの処方でも解決しなかった。これら症例は滋陰降火湯、麦門冬湯を用いて軽快させることができた。
このように山本語録をもとに実臨床で追試し試行錯誤する中で、漸く「脈の浮沈」「自汗の有無」「化熱症状」「便秘の有無」「顔色」を総合的に把握すれば、高熱疾患でもなんとか再現性をもって対処することができるようになったことから、今回「山本巌流漢方による傷寒・温病診療マニュアル」として上梓することにした。
まず太陽病が残っているのか(脈浮)、太陽病の症候はないのか(浮脈がない)がその第一歩である。その後は本書に記載してある指針に沿って処方すれば、快方に向かうと思われる。多量の頻回投与が大事である。全てが自験である。どのようにして解決したら良いのかを失敗例を含めて述べてあるので、小児から成人・高齢者に至るまで殆どのケースに対処出来ると考えている。
各漢方薬は外来で服用すれば、約30分以内に何らかの効果が確認できる。「楽になった」「頭痛がとれた」「寒さがとれた」「熱さが和らいだ」などの反応が診られる。指針通りの処方で効果もなく、化熱症状の悪化が診られたときは、処方の追加が必要である。それでも改善がない場合は、誤治であり、所見の再確認が必要になる。高熱の場合は翌日の再診が必要である。それくらい変化があるからである。
【著者略歴】
1970年 大分県日田高校卒業、1976年 山口大学医学部卒業,小児科入局、1978年 鳥取大学脳神経小児科留学、1985年 山口大学学位,誘発脳波についての研究、1986年 大分岡病院小児科、2015年 大分リハビリテーション病院 漢方内科・小児科、日本小児科学会専門医、日本東洋医学会専門医、漢方歴34年(2020年現在)、外来・入院で軽症から重症まで多くの気道感染症を診てきており、積極的に漢方治療で対応している。