原典に拠る重要漢薬 平成薬証論
商品コード: 978-4-901767-09-5
【長期品切れ中】 東洋医学の薬物選定基準である薬味・薬性は時代により著者によりまちまちで、中国でも日本でも整理・検討されず、古人の諸説を累積したまま伝承されてきた。本書はまさに『神農本草経』『名医別録』『唐本草』『宋本草』から『本草綱目』、近代中医薬にいたる日中の文献に記載される薬能記載を網羅して引用するとともに、文献を徹底して比較検討し、重要漢薬の薬味・薬性の一本化を図った快著である。著者の半世紀を越える薬学者・漢方家としてのライフワークをもってなし得た薬能解説、論考は必見の価値あり。
A5判、860頁、原色基源植物・鉱物・動物図110点
[ 目次 ]
序
自序
凡例
中国本草と日本の本草
●総論
1.漢方医学の領域 …………………………………2
2.漢方医学の薬物の薬効表現法 …………………4
3.陰陽・虚実 ………………………………………6
4.気血水の三元論…………………………………16
5.薬味・薬性と陰陽五行…………………………19
6.五味の薬性(酸苦甘辛鹹)……………………21
7.三陰三陽と経絡…………………………………25
8.薬物の証と処方の証……………………………28
9.古方の調剤原則…………………………………41
10.古代の薬物度量衡………………………………48
11.芍薬の薬味薬性と気血水剤の位置付け………50
12.芍薬配合の方剤からの考察……………………57
●各論
気剤……………………………………………………63
血剤………………………………………………… 199
水剤………………………………………………… 443
脾胃剤……………………………………………… 631
【ア】
阿膠201/707 茵蔯蒿205/708 茴香65/680 延胡索209/709 黄耆445/749 黄芩213/710 黄柏220/711 黄連226/712 遠志449/750
【カ】
薤白69/681 艾葉232/713 瓜子/冬瓜子453/751 藿香73/682 葛根458/752 滑石462/753 栝楼根/栝楼仁237/714 乾漆244 甘草633/784 桔梗466/754 枳実249/715 乾姜/生姜77/683 杏仁471/755 枸杞子/地骨皮476/756 苦酒481 苦参257/716 荊芥87/684 桂枝/菌桂/桂91/685 膠飴641 紅花263/717香?485 香附子98/686 粳米646/785 牛黄268/718 呉茱萸108/688 胡麻651/786 五味子489/757
【サ】
柴胡272/719 細辛493/758 山梔子279/720 山茱萸479/759 山椒/蜀椒113/689 酸棗仁118/690 山薬/薯蕷656/787 地黄285/721 紫根/紫草293/722 紫蘇葉122/691 赤石脂/五色石脂299/723 芍薬501/760 麝香127/692 䗪虫304/724 戎鹽511/761 十薬309/725 縮砂132/693 朮/白朮/蒼朮515/762 升麻313/726 辛夷135/694 秦艽318/727 真珠139/695 水蛭324/728 蠐螬329/729 赤小豆521/763 石膏144/696 川芎334/730 蟾酥339/731 桑白皮525/764 大黄343/732 代赭石353/733 大棗661/788 沢瀉529/765 竹筎358/734 知母362/735 丁香150/697 釣藤鈎368/736 猪苓534/766 陳皮/橘柚155/698 天麻/赤箭159/699 天門冬538/767 当帰372/737 桃仁378/738 土瓜根388 杜仲162/700 独活/羗活394/739 人参542/768 忍冬/金銀花548/769 敗醤398/740 貝母553/770 麦芽668/789 麦門冬558/771 巴豆563/772 蜂蜜672 薄荷166/701 半夏569/773 百合574/774 白芷402/741 檳榔子579/775 茯苓583/776 附子/烏頭/天雄589/777 防已597/778 芒硝/朴消/消石406/742 虻虫/木虻/蜚虻412/743 防風171/702 牡丹皮416/744 牡蛎176/703 麻黄602/779 麻子仁/麻子610/780 木通/通草614/781 木瓜619/782 木香182/704 熊胆422/745 薏苡仁624/783 竜骨186/705 竜胆427/746 竜脳191 良姜195/706 連翹432/747 鹿茸436/748
原色図 ………………………………………………679
病症別索引 …………………………………………826
【自序抜粋】
東洋医学の特性は陰陽虚実と、それを宇宙レベルに展開した陰陽五行論の統一原理に拠っていることである。方剤構成の原点である漢薬の薬効も、五行の五味(酸苦甘辛鹹)と五性(涼寒平熱温)の二つで表現している。薬物や食物に陰陽虚実を寒熱比(陰陽比・水血比)で規定し、薬物・食物の適応臓腑・器官をそれに対応する五味(酸苦甘辛鹹)の薬味で規定したユニークな薬効表現法である。
陰陽五行の原理から、方剤構成を見ると、どの方剤も気剤(温熱剤)・血剤(寒剤)・水剤(利水剤)・脾胃剤(甘平剤)の四つの中の一剤から四剤の組み合わせで、すべての漢薬は気・血・水・脾胃の何れかに所属するものである。漢薬と漢方には更にその薬物その薬方が適応する薬証と方証とが規定され、病像を解消する薬物と薬方が設定されている。
中国本草ではなお、欧米の医薬学の病名と薬物の生理作用だけの薬効表現を超えた、経絡の面からの人間工学的な薬効表現として、帰経・入経がある。
しかしこれらの優れた薬物選定のユニークな基準は、時代により著者により、区々まちまちで中国でも日本でも、今日まで整理検討されず、古人の諸説を累積したまま伝承されてきた。
それは薬物選定の基準であり、物差しである。基準・物差しが区々まちまちでは誤差が生じて中国医薬学の特質である方証一致の原則は期待できない。………この中国医薬の統一原理の一本化が先決問題と考えられる。