中医治療学マニュアル

装飾
装飾

中医治療学マニュアル

  • 東洋
¥7,260 税込
商品コード: 978-4-901767-15-6
関連カテゴリ
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む
本書は単に他国の治療学を紹介したものではない。日本における諸事情や実用性、気候風土に育まれた日本人体質像を踏まえた上で、中医治療学を解説するものである。著者等が過去10年間の歳月を投じて、教育と臨床実践の中で試行錯誤し、検証し積み上げてきた成果が本書に示されている。B5判・496頁
【目次】

1.呼吸器系病証の弁証論治
感冒(風邪)
咳嗽、喘証、肺結核(肺癆)

2.循環器系病証の弁証論治
胸痛(胸痺)
眩暈
冷え症

3.消化器系病証の弁証論治
胃脘痛
腹痛
嘔吐
下痢(泄瀉)
便秘
食欲不振

4.泌尿・生殖器系病証の弁証論治
排尿困難(隆閉)
浮腫(水腫)
インポテンツ(陽萎)
男性不妊症(不育症)
月経痛(痛経)、不妊症

5.精神、神経・筋系病証の弁証論治
頭痛
顔面痛
鬱証
不眠
痴呆
痺証
痿証
腰痛
肩こり

6.代謝、その他内科病証の弁証論治
糖尿病(消渇)
肥満
疲労・倦怠
発熱、のぼせ

7.五官・皮膚科病証の弁証論治
鼻淵
眼精疲労
耳鳴・難聴(耳聾)
脱毛症
痤瘡(ニキビ)
アトピー性皮膚炎

病名・症候索引
処方集 & 処方索引
その他索引


【本書の概要】
●日常よく見られる39症候をとりあげ、その弁証論治の解説を行なう。単に平面的な解説ではなく、各病態における主症・随伴症・舌脈象の区分、諸症状に対する中医学理論による病態分析、さらには弁証の根拠となるポイントを明解に説く。

●病態ごとの薬物療法では、著者等が日本で実践する場合の湯液処方を挙げ、病態との対比の中で、構成生薬の組成の意図を解説する。更に中国伝統の名処方の紹介、代用の漢方エキス製剤や中成薬処方も漏れなく記載し、それぞれの病態の変化に応じた加減・合方・変方を詳述、鍼灸治療では選穴を示し、手技を解説する。

●臨床的追記に示される、臨床における実際的な留意点は、患者を治療していく上での大いなる指針となる。

●その他の療法として、適応となる耳鍼療法や、薬粥・薬茶・薬酒などの食事療法、運動療法、予防法などを紹介、患者治療や指導の具体的手段として利用できるもの、またそのヒントになるものも示されている。


【序】
日本医科大学東洋医学科助教授
三浦於菟

 この度、高明、木下和之両先生が執筆された『中医治療学マニュアル』を拝読し、東洋医学を実践する者として大いなる感銘を受けた。臨床の場で、私も手元に置き活用したい良書との感、深いものがあった。
 本書の素晴らしさは、その記載が簡潔でかつ非常に分かりやすい事である。周知のように東洋医学には、2000年以上の永きに亘り積み重ねられた理論体系がある。だが我が国では、東洋医学理論はとかく軽視され、また難解に感じられる。その原因の一つとして、漢字で表現された独特な学術用語が挙げられよう。私も南京中医学院での留学中、用語の理解に苦しんだものである。さらに従来の中医学関係の書物は、中国語書物からの翻訳調が多く、日本語としての不自然さが目立っていた事も、理解をし難くする一つの原因であった。

 これに対し本書は、難解な用語を使用せず、日本語としての自然な言葉で、東洋医学理論を的確に表現している。読む者をほっとさせ、安心させるのである。これは、著者が東洋医学理論をよく理解し、自家薬籠中のものとしているからであろう。 次なる素晴らしさは、実際の臨床応用への行き届いた配慮が成され、かつ要点が簡潔に書かれている事である。多忙な臨床での活用を直ちに可能にする配慮といえる。

 日常よく遭遇する症候名の概念から始まり、全体の病態像が簡明に語られている。さらに症候を幾つかの病態に分類し、その病態治法が述べられている。特に主症と随伴症の記載や弁証のポイントは、臨床の参考になること大であり、また症状の病態分析は非常に分かりやすい。構成生薬の説明も要を得ているといえる。実際の臨床では、本書と同じ病態はあり得ず加減が必要となるが、加減方法も理解しやすく簡潔であり、臨床で非常に役立つものとなっている。また湯液処方のみならず、代用のエキス剤や既成の丸剤の記載も充実している。その幾つかは、私も実際に使用した経験があり、非常に有用であろう。鍼灸治療、臨床での実際的留意点、疾病の予防法なども述べられており、東洋医学を西洋医学の単なる補助に終わらせない意気込みが感じられる。

 さて、筆者高明先生は、中華人民共和国遼寧中医学院を卒業後、来日し京都大学大学院人間環境研究科で学ばれた学識豊かな中医学専門の医師である。木下和之先生は、日本漢方界の泰斗故山本巌先生に師事され、東洋医学を学ぶこと約30年にも及ぶ漢方専門家である。臨床への熱意と人間への温かい眼差しに満ちた好学の士である。本書の素晴らしさは、これまでの日本漢方の伝統を受け継ぎながら、東洋医学の淵源である中国伝統医学の粋をくみ取り、紙面に結実させた所にあろう。また、随所に見られる臨床への配慮は、木下先生の臨床経験の豊富さの故であろう。まさに本書は、東洋医学のより的確な臨床活用へと誘う良質な指南書といえる。

 本書の出版を喜び、また両先生の今後のご活躍を期待しつつ序文としたい。

ページトップへ